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2010/08/20 (Fri)         シーグラスとガラスのカケラ 6話

シーグラスとガラスのカケラ





あたりはすっかり暗くなりHIIさんが運転をしながら、

「ね~ KOUさん」
『はい』
「あの海の見える温泉に行きたくない?」
『行きたいね~』
「それで、お風呂上がりに海鮮丼を食べるって言うのはどぉ?」
『絶対賛成! 宜しくお願いします!!』 

と、僕が言うとHIIさんはハンドルを握り締め、少しスピードをあげた。 



その温泉はすべて個室になっており、どの部屋からも海を眺める事ができる。

それだけではなくその日、水揚げされた新鮮な魚介類を気軽に食べる事ができる、HIIさんお気に入りの温泉なのだ。



僕らは温泉に着き、いつも何処かに行く時は、必ず持って行く軍用バック(中にはお風呂セットが入っている)
を持って受付けに行った。

受付けには笑顔の素敵な女の人が居て、

「こんばんは」と言うので僕らも『こんばんは』と言った。

女の人は、
「え~、今ならヒノキの湯が開いていますがどうなさいますか?」
と、言うので僕は、
『じゃあ、その部屋で』
と、言ってお金を払いカギをもらった。


部屋に入るとヒノキの匂いと潮の香りが同時にした。 
僕らは最初、綺麗に体を洗いゆっくりと湯船に浸かった。



ライトアップされた海を二人で眺めていると、 

「私こんなにビーチを歩いたの初めてかもしれない」
『まったく、僕もそうだね。 足も腰もスッゴイ痛いよ』
「私も・・・ でもシーグラスが沢山あって良かったね!」 
『うん!』

「何か、おもしろいモノ作れそう?」
『ん~・・・ ゆっくり考えてみるよ』 
「そうね~ 時間は有るんだから。 KOUさんらしいアクセサリーを作ってね」
『うん。 でもねすごくシンプルなモノになると思うよ』 

「例えば?」
『う~ん・・・ 例えばシーグラスに穴を開けて、紐だけ通したペンダント・・・とか?』 
「紐だけ?」 
『うん。紐だけ。 何か他のパーツを使っても、シーグラスには似合わない気がする』
「そうよね~ あのガラス変わってるもんね」
『そうなんだ。綺麗に作ると言うよりも、ガラスの個性を生かすと言うか・・・ 
 良く分からないけど身に着ける人は、とても難しいモノになるだろうねぇ』
「そんな変わったモノ、みんなが欲しいって思うかなぁ~?」

『ん。でもね、世の中には変わったモノが好きっていう人もいるんだよ?
 
 例えば、アンティークビーズや古いとんぼ玉、とても綺麗なガラスとは言えないよね。

 でもね、人はあのガラスに惹かれ、いつの間にか、あのガラスを綺麗って思うようになるんだ。
 それだけじゃなく、同時に何百年・何千年と言う、時の流れを感じる事が出来る。
 だから、あの古いガラスを欲しいって思う人が多いんだよ。

 僕が古いガラスを使ってアクセサリーを作っているのもそうなんだ。


 【 その人を飾るためのモノではなく、その人がどう飾るかなんだ 】 


 僕自身そういうモノが大好きだし、自分が作るアクセサリーもそういう事が分かる人に身に着けてもらいたい。
 古いモノを身に着け、時を感じてもらえたらいいな~って、思っている。


 シーグラスには、その“時のカケラ”を感じる事ができるし、人は古いモノを手にすると、
 なんだか優しい気持ちになれるだろ?

 こうやってHIIさんと温泉に入っている時間もいわば、時の中のカケラなんだよ・・・』

 と、僕が言いかけた時・・・。



HIIさんはお湯の中に潜って両手を出していた。 

《聞いているのかな? この人は・・・?》

また前髪で顔を隠し“貞子”の様に、お湯の中からゆっくりと出てきそうだったので、僕は静かに湯船から出た。

僕の居た場所に向かい、「あぁ~」と、出てきたHIIさんはとても間抜けだった・・・。 

「エェ~!!」
と、HIIさんは鬼太郎のような顔で僕を見つけ、
「ちょっと~! ちゃんと見なさいよ~!!」
と、叫んでいたが。


僕はすでに脱衣所にいた。
着替えを済まし、外に出て見ると雨はあがり、空には大きな三日月が出ていた。


タバコを吸いながら、《ガラスの個性ね~ ん~ ガラスの個性・・・》と、考えていると後ろから
エゴイスト・プラチナムの香りがした。

『またぁ~、ご飯食べる前に香水なんか振って~』
「いいのこれは。 私の相棒なんだから!」
と、言いながら指でメガネを作り僕をにらんだ。



店に入るとゴマ塩頭のおやじさんが「いらっしゃい」と、言うので僕らは「こんばんは」と言って、
カウンター席に座った。 

おやじさんに海鮮丼を2つ頼み、周囲を見ると風呂上りの人達が、美味しそうにビールを飲んでいた。
丼ぶりはいつもながら見事に飾られ、刺身やイクラ・エビや貝などがキラキラと輝いていた。
僕らは一度目を閉じ、静かに海鮮丼を味わった。

おやじさんに「ごちそうさま」と言い、店を出て駐車場に戻ると、HIIさんが僕にそっと車のキーをくれた。

「私、目が見えない」 
と、訳の分からない事を言い助手席へと転がった。

HIIさんはお腹が一杯になると、目が半分こになりすぐに寝てしまうのだ。 


『はい、はい』
と、言いながら僕が運転する事に。

HIIさんは10分も経たないうちに眠りに落ちた。 
帰り道、月が照らす海を見ながら小さな声で“浜辺の歌”を歌った。



家の駐車場に着きHIIさんを起すと、HIIさんは僕の顔を見て、

「ポテトに塩を振らないで!」 と言った。 

『あのね、マックじゃないの!』
「えっ? マックじゃないの??」
『ん、家に着いたよ!』
「もう着いたの?」
『ん』
「私まだ眠たい・・・」
『ダメ。 早く帰ってシーグラス洗わなきゃ!』
「あっ! そうだった早く帰ろう!!」
『まったく・・・』


家に帰ってさっそく僕らはシーグラスを水で洗い、それからキッチンハイターを振り、また水で洗う。
最後に固めのブラシで磨いてからテーブルの上に並べて見た。 


綺麗に洗ったシーグラスは濡れているせいか、キラキラと楽しそうに輝いて見えた。

「いいね~」 
『うん。いいね~』 


その綺麗な姿も時間と共に姿を変え、見るも無残なガラスのカケラへと・・・


《これは写真で見たシーグラスじゃない。 さっきまでテーブルの上で輝いていたモノは何だったんだろう?》


「ねぇ、KOUさん」 
『はい?』
「これって、シーグラス?」
『う~ん・・・ シーグラスといえばシーグラス。 シーグラスではないと言えば、シーグラスではない』
「シーグラスってもっと綺麗だよね」
『うん。 僕が雑誌で見たシーグラスはもっと・・・ ん~ キレイだった・・・』 
「そうよねぇ~・・・」





◆緑色のシーグラス 7話  へ続く→







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◆シーグラスな日々 |


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プロフィール

シーグラス作家 KOUHII

Author:シーグラス作家 KOUHII


手を触れたくなるような


優しい色合い
  

なるべき形になったというような


この硝子


そんなシーグラスに魅せられた日々を
綴っていきたいと思います。

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